近年では、DX化などの取り組みで労働力不足の問題を解消したり、長時間労働を抑制したりする「働き方改革」の取り組みが行われています。多様な働き方や公正な待遇の確保などさまざまな点が重視されており、それにあわせて時間外労働の上限規則なども導入されました。
とはいえ、単純ながらも手間のかかる定型業務が多く、「気づくとつい残業が出てしまう」といった事例も少なくありません。
そのような単純ながらも負担の大きい定型業務におすすめなのがRPAツールです。
この記事では、働き方改革とは何か、働き方改革にRPAが役立つ理由を解説します。RPAを使った働き方改革の事例も紹介しますので、あわせてご参照ください。
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1.働き方改革とは
働き方改革とは、労働環境の大幅な見直しを通じて、一億総活躍社会の実現を目指す取り組みを指します。多様で柔軟な働き方を実現して、多くの人が自分に合った働き方を選択できるようにするための改革です。
2019年4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行されており、労働時間や休暇、待遇などを改善していく必要があります。
1-1.働き方改革の背景
働き方改革の背景に、日本が現在直面している「働く世代(生産年齢人口)が大きく減っている点」「働き方のニーズが多様化している点」があげられます。
少子高齢化でますます人手不足に陥っていく日本において、生産性を引き上げるために単純作業を効率化するなど、働き方改革への取り組みは欠かせません。また、働き方のニーズも多様化しており、個々の意欲や能力を十分に発揮できる環境づくりが重要視されています。
人手不足の昨今で生産性の低い定型業務を自動化せずにいると、業務効率が悪くなってしまうばかりか、業務内容を敬遠されてさらに人が来なくなってしまう可能性も否定できません。
そのような悪循環を断ち切るべく、一人ひとりがより良い将来設計を立てられるよう、働き方改革への取り組みが進められています。
1-2.具体的な内容
働き方改革関連法の全体像は以下のとおりです。
- 時間外労働の上限規制を導入
- 年次有給休暇の確実な取得
- 中小企業の月60時間時超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ
- 「フレックスタイム制」の拡充
- 「高度プロフェッショナル制度」を創設
- 産業医・産業保健機能の強化
- 勤務間インターバル制度の導入促進
- 正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の禁止
引用元:厚生労働省「働き方改革関連法に関するハンドブック」
たとえば、時間外労働の上限が「月45時間」「年360時間」が原則とされています。特別な事情がある場合でも「年720時間以内」を守らなければいけません。
また、有給を年5日最低でも必ず取得させることが義務付けられていたり、月60時間を超す時間外労働は割増賃金率を50%に引き上げられていたりと、従業員の労働環境を見直す取り組みが多く取り入れられているのが特徴です。
2.RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上で稼働するソフトウェア形式のロボットです。事前に登録した内容通りに作業を繰り返すシステムで、作業手順が定まっている定型業務の自動化に役立ちます。
RPAツールは働き方改革にも大きく貢献しており、単純作業の自動化や定型業務の効率化によって、残業時間の削減を実現できるのが魅力です。
2-1.RPAでできること
RPAは、決められたルールに基づいて、大量のデータを繰り返し処理する業務を自動化できます。RPAで自動化・効率化できる代表的な事例は以下のとおりです。
- 情報収集
→Web上から競合他社の価格を調査したり、SNS上の口コミを収集したりできる - 勤怠管理
→勤務時間の集計や残業時間の超過間際、有給休暇の未取得など該当者や上司へアラートメールを出せる - 顧客情報管理
→問い合わせフォームなどに届いた内容を、自社システム内に自動で転記できる - 書類の発行
→伝票に基づいて請求書を発行したり、契約書や見積書を自動発行したりできる - 入金消込
→口座情報と連動して入金があり次第自動的に消し込み、未入金をリスト化できる - メール配信
→テンプレートのメール文を配信する際、名前の部分だけを個々にパーソナライズして自動配信できる
RPAでは、パソコン上で作業手順が定まっている業務ならほとんどを自動化できます。
3.働き方改革にRPAが役立つ理由
中小企業をはじめとして、多くの企業で働き方改革を実現するためにRPAツールを導入する事例が増加傾向にあります。RPAツールが働き方改革に役立つ理由は以下のとおりです。
- 業務を効率化できる
- 業務の属人化を防げる
ここでは、働き方改革にRPAが役立つ理由について紹介します。
3-1.業務を効率化できる
働き方改革にRPAツールが役立つもっとも大きなメリットに、業務の効率化・自動化があげられます。RPAツールは人間よりも効率的かつ、正確に、大量のデータを処理できるのが特徴です。そのため、今まで人が行っていた業務もRPA化すれば、従来よりも業務をスピーディに終わらせられます。
さらに、24時間365日稼働できるのも特徴です。たとえば、マーケティング用の資料作成に必要な競合価格などのデータ集めを退社前にRPAツールへ任せれば、翌朝出社するときには必要なデータが揃っています。
また、作業そのものを自動化すれば浮いた人手をほかのリソースに避けるのもメリットです。RPAツールを導入すれば、残業の抑制や人手不足の解消など、働き方改革を大きく後押ししてくれます。
ココがポイント
一度設定すれば動作を正確に繰り返すため、大量のデータ処理も作業終了までボタン1つで放置できる
3-2.業務の属人化を防げる
RPAツールが働き方改革に役立つメリットに、業務の属人化を防げる点があげられます。RPAツールは一度設定すれば常に同じ作業品質で業務を行えます。誰でもRPAツールを利用できるため、今までは「◯◯さんでないとできない」となっていた作業の属人化も解消できるのがメリットです。
また、業務の属人化を防ぐと、「担当者が休みを取りにくい」「退職したらブラックボックス化する」といったトラブルも防げます。
RPAツールがどのような作業を自動化しているのかマニュアル化しておく必要があるものの、RPAツールを導入すればリスクヘッジを実現できるといえるでしょう。
ココがポイント
従来の業務手順から「RPAのスタートボタンを押す」に切り替わるため、業務の属人化を解消できるが、万が一に備えてRPA化した作業のマニュアルも用意するのがベスト
4.RPAを使った働き方改革の事例
単純作業や定型業務を自動化できるRPAツールは、働き方改革の促進に役立つとして多くの企業で導入が進められています。実際にRPAで効率化できる業務の一例は以下のとおりです。
- 従業員の勤怠チェック
- 交通費精算チェック
- 通販サイトの在庫状況更新
ここでは、RPAを使って働き方改革を促進する事例をご紹介します。
4-1.従業員の勤怠チェック
RPAを使えば、労働時間や残業時間、有給取得数などを可視化できます。RPAツールなら、働き方改革関連法に遵守しやすくなるのがメリットです。
たとえば、勤怠管理では「タイムカードの集計作業に手間がかかる」「ヒューマンエラーで転記ミスが起きる」「給与計算の負担が大きい」などが課題視される事例が多くなっています。
勤怠管理をRPA化すれば、「毎月の勤怠情報登録を自動化できる」「法令違反の確認・承認フローを効率化できる」「多種多様な属性計算も自動的に行える」などのメリットを得られます。
RPAツールを活用すれば、働き方改革規制の残業上限ギリギリになってしまう前に、該当従業員や上長にアラートを出して残業超過を防げるのもポイントです。さらに、有給取得数などを含めてチェックを自動化し、働き方改革における法令違反が行われていないか、RPAツールで効率的に確認できるようになります。
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4-2.交通費精算チェック
RPAを使えば、交通費などの金額チェックにおける工数を大幅に効率化できます。たとえば、「申請された交通費」をもとにWeb上のルート検索を行い、最適なルート・交通費かを自動で判定できます。
申請者に対して判定結果を通知できるほか、修正点があれば差し戻しまで自動化が可能です。加えて、正しければ経費を受け入れて、エクセルなどにデータを記載・印刷まで自動化できるのもポイントです。
締め日などにかかる交通費の精算チェックを効率化すれば、従来必要だった確認・差し戻しメールの送付作業がなくなり、浮いた人材を別の業務に充てられます。単純作業ながらも手間のかかる作業をRPA化することで、働き方改革を促進した事例です。
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4-3.通販サイトの在庫状況更新
RPAツールなら、在庫管理の幅広いシステム操作を自動化できます。たとえば、自社ECサイトや外部ECサイトに掲載している商品数を自動的にチェックして、「在庫数の確認・更新・注文情報の入力・発注メールの送信」まで自動化が可能です。
在庫数や出荷予定数のチェックを担当者が定期的に行う必要もなくなり、自宅や外出先でも在庫状況を常に把握できるようになります。
さらに、納入数などをシステムに自動転記し、在庫数の増減にあわせてECサイトの販売停止をリアルタイムで実現できるのもメリットのひとつ。単純ながらも定期的な欠かせない作業も、RPAツールによって在庫状況を更新すれば、作業負担を減らして働き方改革を実現できます。
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5.RPAの導入を成功させるための5つのポイント
RPAツールは定型業務をはじめさまざまな業務の自動化・効率化を実現できます。働き方改革にあわせてRPAツールの活用も進んでいる一方で、適切な手順を押さえなければ導入に失敗してしまうかもしれません。RPAの導入を成功させる5つのポイントは以下のとおりです。
- 導入の目的を明確にする
- 業務の棚卸をする
- RPA化に適した業務を見極める
- 最初は部分的に導入する
- 導入や運用のサポート体制も整える
ここでは、RPAの導入を成功させるための5つのポイントについて解説します。
5-1.導入の目的を明確にする
RPAツールを導入するときは、目的を明確にしたうえで推進する必要があります。たとえば、「残業時間を◯時間削減する」「人件費を◯%削減する」「納期を◯日短縮する」などです。
RPAツールの導入が目的になってしまうと、働き方改革を実現しにくくなってしまいます。
また、単純作業や定型業務を効率化したうえで「浮いた人手」をどのような業務に注力するのかも決めることが大切です。人間にしかできない生産的な作業を浮かび上がらせたうえで、単純作業や定型業務の効率化で何を得られるのか、目的を明確にするのをおすすめします。
5-2.業務の棚卸をする
業務の棚卸とは、会社の仕事を一つひとつ確認して、どのような仕事をしているか明確にする作業です。個々の社員が行っている仕事の内容だけでなく、各部署や会社全体を見通してどのような作業があるかを俯瞰してチェックします。
その際は、RPA化できる・できないに問わず業務を見直すことも大切です。適切ではない業務フローが含まれていないか、非効率的な作業をしていないか確認する作業も含めて棚卸しを行いましょう。
この時点で改善できる業務内容があれば、RPAツールの導入前に働き方改革へ適応しやすくなります。
5-3.RPA化に適した業務を見極める
RPAツールは、すべての作業を自動化できるシステムではありません。そのため、業務の棚卸しで「操作手順の定まった定型業務」を浮き上がらせ、RPA化できる作業を発見します。RPA化に適した業務は以下のとおりです。
- 作業手順が常に一定で定まっている
- 大量のデータ処理や転記作業
言い換えれば、その都度人の判断が必要だったり、イレギュラーな作業が発生したりする業務はRPA化に適していません。また、一度自動化した手順で活用しているソフトウェアに、UIなどの変更が起きると操作がストップしてしまう恐れもあります。
頻繁に作業手順が変更しないか、活用しているソフトウェア・アップデートも含めて確認することが大切です。
5-4.最初は部分的に導入する
RPAを導入するときは、まず一部の業務や部署に限定してスモールスタートするのをおすすめします。一度にすべての作業をRPA化しようとすると、思わぬトラブルで会社全体の業務がストップしてしまう事例も少なくありません。
「計算に時間がかかる」「エラーが多発する」「現場の利活用が進まない」などのトラブルもあるため、少しずつ導入を進めて現場の理解を得ることが大切です。メールの自動返信ならはじめは受発注確認、次に商品発送、ほか問い合わせの自動化など徐々に広げていきます。
導入して得られた効果を共有しつつ、徐々に範囲を広げていけば、現場の理解を得ながら利活用を促しやすくなります。
5-5.導入や運用のサポート体制も整える
RPAツールの導入や運用にあたって、現場担当者をサポートする体制も整備する必要があります。現場担当者へ使い方の解説やマニュアルを用意するほか、システムを運用しながら適宜メンテナンスもしなければなりません。
定期的にRPAツールの作業手順(シナリオ)を見直さなければ、ソフトウェアなどの変更でシステムが正しく動作しなくなる可能性もあるため、注意が必要です。
そのため、社内にIT担当者がいる場合は、RPAツールの導入・運用をサポートできるリソースの確保が求められます。一方で、自社内のIT人材が不足している場合は、手厚いサポートが期待できるRPAツールを選ぶのも選択肢にあがります。
ココがポイント
現場担当者が運用できるようにサポートする体制と、システムを安定して稼働させるためのサポート体制の2つを整えることが重要
6.RPAの導入なら「RaBit」にご相談ください
人材不足などの問題を踏まえ、DX化などの取り組みで労働力不足の問題を解消したり、長時間労働を抑制したりする「働き方改革」の取り組みが行われています。そのような働き方改革で、大きく貢献するのがRPAツールです。
定型業務の自動化を実現できるRPAツールなら、作業を効率化して残業時間の抑制や業務負担の軽減など、働き方改革の促進に役立ちます。
もしRPAツールの導入をお考えの場合は、オーダーメイドで制作できるサービス「RaBit」までご相談ください。プロがヒアリングから設計、開発、導入、運用サポートまで行うほか工務店から士業まで幅広い業界での導入実績があるため、確かなノウハウがあります。
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