パソコンを使った定型業務を自動化できる「RPA(Robotic Process Automation)」は、人材不足の解消や業務の効率化に役立つと期待されているツールです。
昨今では多くの企業がRPAツールの導入に興味を持っていますが、システム開発と混同して考えている方も多いようです。RPAツールの導入とシステム開発には共通する要素もあるため混同されやすいですが、実際はさまざまな違いがあります。
そこで本記事では、RPAツールとシステム開発の違いについて解説します。両者の違いを正しく認識し、自社に合った方法を選択していただければ幸いです。
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1.RPAツール導入とシステム開発の違い
RPAツールの導入とシステム開発では、主に次のような違いがあります。
- 機能の規模
- 運用開始までの手順
- かかるコスト
- 必要なスキル
- 保守管理の必要性
それぞれ詳しくみていきましょう。
1-1.機能の規模
「RPAツール」と「システム開発」のもっとも大きな違いは、機能の規模です。RPAツールに備わっている機能は、基本的に定型業務を自動化するシステムです。
すでに存在するシステムやソフトウェアを操作して、既存の業務を自動化する仕組みに特化しているため、今までになかった新たな機能を生み出す性能はありません。
一方、システム開発なら開発者次第でさまざまな機能を生み出せます。
システム開発の対象となるのは、グループウェアやスケジュール管理といった情報系システムから、生産管理・販売管理・在庫管理などを行うための基幹システムまでさまざまです。
RPAツールとシステム開発では利用できる機能面に大きな違いがあるため、どちらを導入すべきか事前に比較検討するのをおすすめします。
1-2.運用開始までの手順
「RPAツール」と「システム開発」は、運用開始までの手順がそれぞれ違います。
RPAツールを導入する場合は、販売・提供されているツールを選定してインストールすれば、すぐに運用の開始が可能です。
一方で、システム開発の場合は要件定義・設計・プログラミング・テストといったさまざまな手順を経る必要があります。
RPAツールでも、業務を自動化するためのロボット開発で「シナリオ作成」「テスト」といった手順を経る必要はありますが、システム開発よりは簡単なケースが大半です、
基本的に、システム開発の方が運用開始までの手順が長く、RPAツールとは違って難易度も高い点にご注意ください。それぞれの詳しい運用開始手順は後ほど解説します。
1-3.かかるコスト
「RPAツール」と「システム開発」は、それぞれにかかるコストも違います。
一般的に、RPAツールの導入にかかるコストはシステム開発よりも安く、比較的安価なツールだと年間50万円程度の費用で運用が可能です。
高機能なRPAツールだと年間で数百万円のコストがかかるケースもありますが、多くのツールは年間50万〜100万円程度のコストに抑えられる事例が多くなっています。
一方、システム開発はたとえ簡単なシステムでも100万円以上の開発コストがかかります。複雑なシステムであれば、数千万円かかる事例も珍しくありません。また、「保守費用」として運用開始後にも毎月数万円から数十万円のコストがかかるケースが大半です。
どのようなツールを導入するのか、開発したいシステムによってもコストが異なるため一概には言えませんが、システム開発はRPAツールよりもコストが高額になりやすい点を押さえておきましょう。
ココがポイント
システム開発よりもRPAツールのほうが総合的なコストが安く収まりやすい
1-4.必要なスキル
RPAツールとシステム開発では、運用までに求められるスキルが違います。
RPAツールはプログラミングなどの専門知識がなくても利用できるソフトが多くなっています。自動化したい業務で使用しているシステムの操作方法や最低限のITリテラシーがあれば、RPAツールの利用が可能です。
一方、システム開発ではプログラミングのスキルはもちろん、テストやデバッグといったさまざまなスキルが求められます。ITエンジニアならではの高度なスキルが求められるので、スキルのない人がシステム開発を行うのは現実的ではありません。
自社にITエンジニアがいなければ外部委託でシステム開発をする手段もありますが、それには高額な外注コストがかかります。
昨今では、簡単な業務の自動化に既存のRPAツールを導入する企業が増加傾向にあります。基礎からシステム開発をするよりもコストを安価に抑えられるほか、運用に特別なスキルが必要なく、誰でも簡単に利用しやすい点がRPAツールのメリットであり違いです。
1-5.保守管理の必要性
最後の違いとして紹介するのは、保守管理の必要性です。
RPAのようなITツールやシステムは、保守管理によって正常な状態を保つようにメンテナンスをしたり、不具合やトラブルの発生時に対応したりする必要があります。
RPAツールでは、この保守管理にかかる手間がシステム開発に比べて少ないケースが多くなっています。
RPAツールによっては、ベンダーのサポート内容に保守管理が含まれており、自社で対応しなくてもベンダーに任せられるのもメリットです。
自社のシステム開発で業務を自動化した場合は、保守管理もすべて自社で実施しなければならず、担当者の負担が大きくなりがちです。
保守管理が適切に実施できていなければ、不具合やトラブルが頻発して思わぬ損害を引き起こす可能性も。保守管理を外部のベンダーに委託できるRPAツールの方が、運用の難易度は下がると言えます。
2.RPAツールの導入から運用までの手順
ここでは、RPAツールの導入から運用までの手順をご紹介します。
- 自動化する定型業務の明確化
- RPAツールの選定
- 運用体制の整備
- RPAツールの導入
- 導入効果の検証と改善
RPAツールの導入によって業務効率化を実現するために、各手順でどのような作業を行うのかを押さえておきましょう。
2-1.自動化する定型業務の明確化
まずは、RPAツールを導入してどのような業務を自動化したいのかを明確にする必要があります。自社で行っている業務を洗い出していき、RPA化する業務としない業務の線引きが大切です。
RPAツールを使った自動化に向いている業務の特徴は次の通りです。
- 手順が明確に決まっている定型業務
- 繰り返し行われる単純作業
- 大量のデータの処理・照合
- データの収集
たとえば、経理部門で行われている精算業務や伝票作成はRPAツールでの自動化に適しています。また、人事部門で行われている労務管理や、営業・マーケティング部門で行われている見込み顧客リストの作成なども、RPA化しやすい業務です。
2-2.RPAツールの選定
自動化したい業務が明確になった後、自社にマッチしたRPAツールを選定します。業務の内容を加味しながら、それらを自動化するのに十分な機能を持ったソフトの比較検討が大切です。
また、RPAツールを選定する際は次のような視点で見比べるのをおすすめします。
- 十分な費用対効果を得られそうか
- 現場の担当者でも使いこなせるか
- サポート体制は充実しているか
- 最低限のセキュリティ機能が備わっているか
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2-3.運用体制の整備
次に、RPAツールの運用を担当する部門や責任者を決めたり、運用方法を説明した社内マニュアルを整備したりして、運用体制を整備します。
ルールを決めずにRPAツールを導入してしまうと、管理者が分からない野良ロボットが乱立してしまい、適切に運用できない恐れがあります。また、トラブル発生時の対応フローを整備しておかなければ、迅速に対応できずに業務ストップなどの被害が拡大する可能性も。
ベンダーからのサポートが受けられるRPAツールでも、自社内で最低限の運用体制を整備する必要があります。
ココがポイント
ツールによっては、RPAのトラブルをフルサポートしてくれるベンダーもある
2-4.RPAツールの導入
RPAツールを導入し、実際に業務の自動化に取り組んでいきます。この時に、まずは一部の業務から自動化していき、徐々に自動化の範囲を広げるのをおすすめします。
RPAツールを導入してすぐの頃は、運用に慣れていなかったり、操作方法を間違えてしまったりと、トラブルが起こる事例も少なくありません。
小規模な業務の自動化からスタートすれば、トラブル発生時のリスクを最小限に抑えつつノウハウを積み重ねられます。
2-5.導入効果の検証と改善
RPAツールは「システムを導入して終わり」ではありません。運用が始まった後に、期待した通りの導入効果が得られているかを検証し、もし効果が得られていない場合は改善していく作業が重要です。
改善内容としては、自動化する業務やRPAの設定内容、運用方法などの見直しが考えられます。
検証の結果、RPA化で期待した効果が得られている場合は、RPAに任せる業務の数を増やしたり、別の部署に横展開したりして、さらなる業務の効率化を図っていくのをおすすめします。
3.システム開発の手順
次に、システム開発の手順もみていきましょう。
- 要件定義
- 設計
- プログラミング
- テスト
- 運用・保守
このように、上述したRPAツールの導入とシステム開発は手順が大きく異なります。各手順でどのような作業を実施するのかをご紹介します。
3-1.要件定義
まずは、何のためにシステム開発を行うのか、目的を明確にする必要があります。その上で、目的を達成するためにどういった機能が必要かを検討し、開発するシステムのイメージを固めます。
要件定義を行わなければ、その後の手順で手戻りが発生する可能性が高まるため注意が必要です。後でトラブルにならないように、要件定義は綿密に行うのをおすすめします。
3-2.設計
次に、システムの細かい仕様を設計で決めます。
設計は次の2段階に分けて実施するのが一般的です。
- 外部設計
基本設計とも呼ばれており、ハードウェアの仕様や画面構成、各画面の見た目、使い勝手などを検討します。
- 内部設計
詳細設計と呼ばれており、外部設計で決定した内容をもとに、プログラムの中身やデータの構造などを検討します。
3-3.プログラミング
設計した内容に従って、プログラミング作業を進めます。開発するシステムの規模が大きければ大きいほど、複数のプログラマーによる共同作業が必要です。
プログラミングでは、プログラマーの人数や開発期間に比例して、作業にかかるコストが増えます。
3-4.テスト
プログラミングが完了したら、テストを実施します。テストでは、作成したプログラムが狙い通りに動作するかを細かくチェックしなければなりません。
テストに漏れがあってバグを見逃してしまうと、後で大きなトラブルにつながる可能性があります。
バグを効率よく発見し、修正するために、専門的なスキルを持ったテストエンジニアの確保をおすすめします。
3-5.運用・保守
テストの結果に問題がなければ、開発したシステムの運用を開始します。運用を開始した後も、定期的な保守管理が必要なため、システム開発後もメンテナンスができる人員の確保が大切です。
また、運用開始後に改善点が見つかる場合もあります。利用者の声をよく聞き、要望の多い機能に関しては追加で実装するなど、システムをより良いモノに仕上げていく改善作業が重要です。
ココがポイント
自社でシステム開発をする場合は、改善作業も自社内で行う必要がある
4.RPAとシステム開発のどちらが適しているか
RPAツールの導入とシステム開発のどちらが適しているのかは、実現したい内容によって異なります。誤った方法を選んでしまうと、余計なコストや手間がかかる可能性が高いので、注意が必要です。
RPAとシステム開発のどちらが適しているのか迷った際の判断基準を簡単に紹介するので、参考にしてください。
4-1.既存システムの業務効率化が目的ならRPA
WebブラウザやExcel、社内で使用している業務システムなど、既存のソフトウェアやシステムを使った業務を効率化したい場合は、RPAツールの導入がおすすめです。
新しくシステム開発をするよりも、RPAツールを導入してすぐに業務の自動化に取り組んだ方がコストや手間を抑えられます。
汎用的なRPAツールなら、データ入力・転記・ソフト操作・データ取得・書類作成・精算処理・整合性チェック・情報収集といったあらゆる業務を自動化できるため、うまく活用すれば自社の生産性を飛躍的に高められます。
4-2.新たな機能を実装したい場合はシステム開発
既存のシステムでは実現できない新たな機能を作りたい場合は、RPAツールの導入ではなく、システム開発が選択肢のひとつです。
特に、製造業や物流業、金融業といった専門性の高い分野では、市販のツールにはない自社独自の機能が必要になるケースも少なくありません。
そういった場合には、自社専用のシステムをゼロから開発するのがおすすめです。
自社の運用に合わせた最適なシステムを開発できれば、業務の効率が格段に改善されると考えられます。
ココがポイント
システム開発のメリットは、自社の状況に合わせて機能を適宜実装できる
5.まとめ
今回は、RPAツールの導入とシステム開発の違いについてご紹介しました。両者を混同して考える人も多いですが、実際はRPAとシステム開発でそれぞれ明確な違いがあります。
自社に合った方法で、業務の効率化を目指していただければ幸いです。
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