近年、デスクワーク作業の効率化にRPAツールの導入が進められています。単純な定型業務や事務作業を効率化できる仕組みによって、「人材業界」「金融業界」「医療業界」「物流業界」などさまざまな業界で採用されているのも事実です。
なかでも、生産から販売まで一連の流れを管理する「品質管理業務」は、あらゆる業界で実施されている作業のひとつ。デジタル化も進みつつあり、RPAとの併用によって品質管理業務の効率化を実現している業界も少なくありません。
この記事では、RPAで品質管理を実現する方法とはなにか、RPA化できる製造業務を解説します。製造業におけるRPAの活用事例も紹介しますので、あわせてご参照ください。
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1.製造業を始めRPAの導入が進められている
内閣府の調べによると、令和元年時点ではRPA投資割合のうち上位3位に製造業が含まれています。
2022年では31億米ドルほどのRPA市場も、2030年にかけて233億米ドルまで市場が成長するとされており、RPA市場の発展に伴って製造業でも多くのRPAツールが導入される見込みです。
実は、RPAグローバル市場のうち日本が25％を占めているのも事実です。その背景にRPAを導入しやすい製造業が多いことや、効率化されていないバックオフィス業務が多い点など、さまざまな要因が挙げられています。
そのような背景から、近年ではRPAツールを導入する企業数が増加傾向にあります。
ココがポイント
RPAツールは製造業だけでなく幅広い業種で導入が進みつつある
2.品質管理とは
品質管理とは、製品やサービスなど、商品が一定品質を保てているかチェックする工程を指します。具体的には、各製品の検査・検証を通して商品の機能性を保証・効率化する工程です。
品質管理には、大きく分けて3つの工程が存在します。
- 工程管理
- 品質検証
- 品質改善
工程管理とは、製造業などのものづくり工程で、効率よく生産する体制を生み出すためのフローです。設備の維持から不要なコストの削減を実現するほか、作業手順の標準化などを実現します。
品質検証とは、原材料や各部品などを詳しく検査して不備がないかチェックするフローです。作業工程に変化がなくとも原材料に問題があれば製品のクオリティも大きく変化するため、画像の傷や変色、変形などを検知する「システム化」も進められています。
品質改善とは、生み出された製品が抱えている課題を洗い出し、一つひとつ改善するフローです。品質基準を高めるだけでなく、不適合となる製品が再発してしまうリスクを抑えたり、未然に防止したりする取り組みも行われます。
2-1.品質保証との違い
品質管理業務と品質保証業務には明確な違いがあります。具体的には、「品質管理」は作り手目線のマニュアル化であるのに対し、「品質保証」は買い手に向けた顧客へのサポート業務が含まれます。
端的に言えば、「品質管理は製造過程における取り組みのひとつ」「品質保証は顧客サポートを含めた全体の取り組みで、品質管理はそのうちのひとつ」と言えるでしょう。
特に、品質管理工程における「品質検証」は非常に大切です。自動車製造業や医療業界など、品質に問題があると大きなトラブルに発展しかねない業界では、国や世界の基準に準拠しているかしっかり検証しなければなりません。
そのため、工場を始めとして製造業では「品質管理・品質保証」が必要不可欠な作業です。
3.RPAなら品質管理業務を効率化できる
RPAツールを活用すれば、品質管理業務を効率化できます。品質管理には「工程管理」「品質検証」「品質改善」といったフローが存在しており、RPAツールなら各工程における事務作業を大きく効率化できます。
たとえば、今でも紙の資料を使って品質管理表に書き込み、システムへ転記する作業を行っている工場も少なくありません。RPAツールを活用すれば、紙の検査結果をOCRツールで読み込み、電子データ化してシステムへ自動的に転記できます。
担当者は品質管理の結果が正しく反映されているかチェックするだけで済むため、転記時の入力ミスなどのトラブルを減らし、品質管理の作業工程を効率化できるのがメリットです。
また、近年では品質管理のデジタル化が進み、紙資料を使わずに品質管理を行っているシーンも少なくありません。異常数値などの検知も自動化すれば、担当者ごとに異なる品質管理能力を均一化し、属人的な業務を改善して業務全体の品質向上も期待できます。
RPAツールは品質管理を始めとして、さまざまなバックオフィス業務を効率化できるのが魅力です。そのため、近年では製造業だけでなく多種多様な業界でRPAツールの導入が進められています。
4.製造業でRPAを導入するメリット
人材不足など、働き手が減少傾向にある日本では、RPAツールを導入して業務効率化を図る事例が多くなっています。なかでも製造業でRPAツールを導入するメリットは以下のとおりです。
- 人手不足の解消
- 業務効率化で生産性向上
- 業務に掛かるコストの削減
- BCP対策などのリスクマネジメント
ここでは、製造業でRPAを導入するメリットについて解説します。
4-1.人手不足の解消
製造業にRPAツールを導入すれば、人手不足の解消を実現できるメリットがあります。品質管理だけでなく、RPAツールはさまざまな定型業務を自動化できるのが魅力です。
RPAは24時間365日稼働できるため、単純作業ながらも時間が取られる業務をRPA化すれば、限られた人的リソースを効率的に活用しやすくなります。
4-2.業務効率化で生産性向上
RPAツールを活用すれば、品質管理を始めとしてさまざまな業務をスピーディに自動化できるメリットがあります。夜間や休日も稼働し続けられるため、人が行うよりも多くの業務を遂行できるのが魅力です。
加えて、RPAツールは作業負担により集中力が低下する心配もありません。ヒューマンエラーによるミスが起因でトラブルを招く心配もないため、品質管理工程を始めとしたさまざまな業務の品質を安定化しやすいメリットがあります。
4-3.業務に掛かるコストの削減
RPAはソフトウェアを導入するコストが掛かる一方で、人的コストなどを大幅に削減できるメリットもあります。たとえば、定型業務の自動化を実現できるオーダーメイド型RPAツール「RaBit」は、月額10,450円、初期費用66,000円から導入することが可能です。
人を新しく雇って事務作業を進めるよりも大幅なコスト削減を実現できるほか、残業代などの人的コストカットも可能なため、コストフォーマンスの改善にも貢献します。
4-4.BCP対策などのリスクマネジメント
RPAツールなら品質管理に含まれる定型業務を始め、さまざまな繰り返し作業の自動化を実現できます。その結果、出社できないような自然災害が起きても、業務のRPA化によって製品の供給を止めずに済む可能性が生まれるのも事実です。
昨今では製造業のBCP対策が重視されており、万が一人員を確保できない状況でも、業務を継続できるようにRPAツールを導入する事例が増加傾向にあります。
5.品質管理以外でもRPA化できる製造業の活用事例
RPAツールは、品質管理以外にもさまざまな製造業務の効率化に役立てられています。具体的な活用事例では、以下のような場面が挙げられます。
- 資料準備などを効率化
- 受発注管理の自動化
- 在庫管理の自動化
- レポート作成の効率化
ここでは、品質管理以外にもRPA化が可能な製造業の活用事例について解説します。
5-1.資料準備などを効率化
RPAツールなら、生産計画書など資料準備も効率化できます。社内の各システムからデータを転記できるため、「在庫管理システム」「販売管理システム」からデータを取得し、原価計算や資材調達を考慮した日別生産計画書も自動的に作成できます。
RPAツールは転記ミスなども起こらないため、制作された資料に高い正確性が確保されるのも特徴です。
5-2.受発注管理の自動化
RPAツールを活用すれば、受発注管理の自動化も実現できます。取引先からメールなどで送られる発注書を読み込んで、事前に設定したフォーマットをもとにデータを受発注システムへ転記できます。
担当者は簡単に振り返るだけで受発注を行えるなど、業務を大幅に効率できるのがRPAの特徴です。
5-3.在庫管理の自動化
RPAツールなら、在庫管理作業も自動化できます。取引先からの納品書を読み込んで、各数量を在庫管理システムへ自動的に反映させることが可能です。在庫数を自動的に登録できるため、逐次在庫数をチェックする必要もなく、リアルタイムで正しい数値を把握できます。
5-4.レポート作成の効率化
RPAツールなら、製造業におけるレポート作成業務も効率化できます。たとえば、納品実績や請求書、受発注履歴などのやり取りも、すべてRPAツールで抽出してレポートを自動作成できます。
各データを管理するには、納品や請求、受発注履歴を管理するシステムが別途必要です。場合によっては、各システムを行き来してレポート作成に時間が掛かってしまうケースも少なくありません。
RPAツールなら異なるシステム間も横断できるため、それぞれのツールからデータを抽出してレポートを自動作成できます。
ココがポイント
RPAツールなら幅広いシステム同士を擬似的に連携させられる
6.RPAツールなら品質管理以外にもさまざまな製造業務を効率化できる
RPAツールは品質管理を始めとして、製造業務に含まれるバックオフィス業務の大幅な効率化を実現できます。受発注の自動化や在庫管理数をリアルタイムで反映させられるほか、単純作業ながらも欠かせない定型業務を効率化できるのがメリットです。
各帳票のフォーマットに転記して納品書を作成することもできるため、製造業に関するさまざまな事務作業を効率化できます。RPAツールなら、業務プロセスを自動化して人的コストの削減やヒューマンエラーによるミスを防ぐなど、幅広い改善効果を期待できるのも特徴です。
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