働き方改革に伴って残業上限が厳格化しており、近年では適切な勤怠管理が求められています。しかし、勤怠管理は「出退勤の記録」だけでなく、属性ごとの給与計算や給与明細の発行など、細かい経理作業によって手間がかかっているのも事実です。
そこで、近年ではRPAツールを用いた勤怠管理の効率化が注目を集めています。
この記事では、RPAを勤怠管理に用いるメリットや導入事例、ツール選びをするときのポイントについて解説します。勤怠管理によくある課題についても解説しますので、あわせてご参照ください。
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1.勤怠管理でよくある課題
従業員の勤怠状況をより詳しく把握するため、残業上限の厳格化や管理方法の是正などの法改正が行われました。しかし、急ピッチで管理方法の刷新を行った一方、勤怠管理自体の手順に課題があり、業務負担を感じている事例も少なくありません。
勤怠管理でよくある課題として以下のようなものがあげられます。
- タイムカードの集計作業に手間がかかる
- ヒューマンエラーで転記ミスが起きる
- 給与計算の負担が大きい
ここでは、勤怠管理でよくある課題について解説します。
1-1.タイムカードの集計作業に手間がかかる
労働安全法では、従業員の始業・終業時刻を適切に記録することが求められています。ICカードやパソコンの使用時間などで勤怠管理ができるシステムも登場していますが、タイムカードやExcelでの自己管理を行っている企業も少なくありません。
しかし、タイムカード等は記録された出退勤時刻を集計する必要があり、大きな手間がかかります。実際の仕組みによって手間は異なるものの、「手作業で電卓集計」「Excelで集計」「勤怠管理システムで自動集計」などいくつかの選択肢があります。
なかでも、手作業での電卓集計やExcelでの集計は、給与計算を行ううえで大きな手間となってしまう点が勤怠管理における課題です。
1-2.ヒューマンエラーで転記ミスが起きる
勤怠管理でよくある課題に、ヒューマンエラーでの転記ミスもあげられます。独自の勤怠管理システムにより分単位で管理していても、肝心の給与計算フェーズで出退勤記録を転記ミスしてしまい、正しい給与明細などを発行できない事例もまれに見られます。
勤怠管理をシステムで効率化していても、要所に人の手によるチェック・作業が含まれてしまうと、ヒューマンエラーによる効率の低下が起きてしまうのは避けられません。そのため、一部の手順に人の手が加わる勤怠管理システムでは、転記ミスなどの対応が課題となっています。
1-3.給与計算の負担が大きい
勤怠管理の課題に給与計算の負担があげられます。「役職手当」「残業時間」「扶養手当」などの手当や属性別の基本給など、さまざまな計算方式を取り入れていると複雑化しやすいのが課題です。
一人ひとりの勤怠データをもとに給与計算を行うため、従業員の数が増えるほど負担が増加してしまいます。また、給与計算にミスがないかも再三チェックする必要があり、業務を進めるうえで精神的に大きな負担がかかってしまう面も勤怠管理における課題です。
ココがポイント
給与計算のミスは大きなトラブルに発展するため、作業担当者の負担が大きい
2.勤怠管理のRPA化で得られるメリット
勤怠管理にはさまざまな課題があるなか、RPAツールを取り入れることで勤怠データの管理から給与計算まで幅広い業務を自動化できます。具体的に、勤怠管理のRPA化で得られるメリットは以下のとおりです。
- 毎月の勤怠情報登録を自動化できる
- フォーマットの違う紙書類の管理負担も減らせる
- 法令違反の確認・承認フローを効率化できる
- 多種多様な属性計算も自動的に行える
- 幅広いシステムとデータ連携ができる
- 業務負担を大幅に軽減できる
ここでは、勤怠管理のRPA化で得られるメリットについて解説します。
2-1.毎月の勤怠情報登録を自動化できる
勤怠管理とRPAを連携させれば、毎月の勤怠情報を登録する作業も自動化できます。たとえば、タイムカードのシステムと連携させれば、データを自動的にExcelなどへ転記＆集計できます。
また、各部門や事務所から寄せられたCSV/Excelデータの集計・加工を担当者が行うケースも少なくありません。RPAツールなら、システムへ勤怠データを登録する作業を自動化できるため、給与計算にあわせて勤怠データを集計・加工する手間もかかりません。
RPAツールなら転記先にミスが起きる心配はないため、データ処理のエラーがないかチェックするだけで勤怠管理作業を完全に効率化できるのがメリットです。
2-2.フォーマットの違う紙書類の管理負担も減らせる
勤怠管理のRPA化に加えて、OCRツールと組み合わせれば、フォーマットがそれぞれ異なる紙資料の管理負担も減らせます。具体的には、OCRツールで異なるフォーマットの紙の書類をデジタルデータ化して、同一の勤怠データとして集計・加工することが可能です。
部署や番号、勤怠データなどを読み込んで人事給与システムへログイン・登録・給与計算などの流れもRPAによって自動化できるため、勤怠管理にかかる負担を大きく減らせます。
ココがポイント
異なるフォーマットでも定期的に発生するなら、RPAツールで効率化を実現できる
2-3.法令違反の確認・承認フローを効率化できる
RPAツールで勤怠管理を効率化すれば、残業過多により法令違反へ近づいている従業員への注意喚起を自動化できます。該当の従業員に通知するだけでなく、上長への注意喚起メール等も自動的に送信できるため、残業時間などの法令違反を犯すリスクを減らせるのがメリットです。
ほかにも、有給取得日数や休日労働時間の超過、出勤打刻漏れのチェックなど、幅広い勤怠管理フローもRPAで自動化できます。承認作業もRPAを挟むことでシステムへの反映を自動化できるため、管理サイドの負担を大きく減らせるのもメリットです。
ココがポイント
システムへID/PW入力、ログイン、ファイリング、承認などのフローもRPAなら自動化できる
2-4.多種多様な属性計算も自動的に行える
RPAツールなら、勤怠管理システムの勤怠データに基づいて、多種多様な属性の給与計算も自動的に行なえます。RPAツールはあくまで登録された手順を繰り返し行うシステムですが、Excelなどを用いて事前に属性計算のシートを用意すれば、勤怠データを加工して給与計算を行えるのがメリットです。
そのため、属性を見落として給与計算にミスが発生してしまう勤怠管理のリスクも、RPAツールなら避けられます。
2-5.幅広いシステムとデータ連携ができる
RPAツールなら、勤怠管理システム以外にも幅広いシステムとデータ連携できるのがメリットです。たとえば、PDF化した給与明細のデータを、自動的に対象者へ給与明細としてメール送信する作業も自動化できます。
RPAツールなら、勤怠管理にかかわる一連の業務を効率化できると言えるでしょう。
加えて、RPAツールは定型業務の自動化にも適しています。経理部門であれば経費照合や入金消込などの会計処理、請求書の発行など幅広い定型業務を自動化できます。作業手順が定まっていれば、勤怠管理以外にも多くの作業をRPA化できるため、会社全体の業務効率を大幅アップできるのがメリットです。
2-6.業務負担を大幅に軽減できる
勤怠管理をRPAツールで効率化すれば、担当者の業務負担を大幅に軽減できるのもメリットです。給与計算をはじめとして勤怠データ周りの管理は気を使う作業で、計算ミスがないか何度も振り返る手間がかかるのも事実です。
RPAツールなら転記作業をミスなく行えるため、勤怠管理における振り返りの確認作業をカットできる魅力があります。その結果、担当者の業務負担を大幅に軽減でき、ワークライフバランスを改善したり、離職率の低下を防いだりする効果も期待できます。
3.RPAによる勤怠管理の効率化に成功した導入事例
RPAツールを導入して勤怠管理を効率化した導入事例は多数あります。弊社が提供する「RaBit」でも勤怠管理業務の効率化を実現でき、「出勤打刻漏れのチェック・該当従業員への通知」「給与明細の発行」なども含めて自動化できるのがメリットです。
ここでは、オーダーメイドでRPAツールを制作するサービス「RaBit」をご導入いただいたお客様より、実際の導入事例をご紹介します。
3-1.200名近くの給与計算をRPAで自動化
株式会社SF・インフォネット様では、1分単位で従業員の給与明細を手計算しており、発行まで数日を費やすなど勤怠管理フローに課題を抱えていたそうです。
そこで、給与計算も効率化できる「RaBit」をご導入いただきました。
現在では給与計算をRPAツールへ任せているため、既存の作業にかかっていた数日分の時間が丸々浮く形になり、時間的余裕を生み出すことができました。加えて、手作業では度々起きていた人的ミスも減り、「見直しにかかっていた時間を減らせる効果も実感できた」と嬉しいお声が寄せられています。
3-2.勤怠データの加工からソフトへのインポートをRPAで自動化
株式会社玉寿司様では、Excelマクロで業務を効率化していたものの、うまく動かないときやIT化が進められていない課題を抱えていました。エラーの特定や修正作業など、業務の効率化を思ったように実現できていないことに頭を悩ませていたそうです。
そこで、プロが設計から導入まで提供する「RaBit」をご導入いただきました。
勤怠データの加工から給与ソフトへのインポート作業をRPAで自動化しており、RaBitの導入後は半日近くの時間短縮に成功しました。現在では、勤怠管理の効率化だけでなく、お客様アンケートや社内アンケートの結果集計も効率化しているそうです。
「RaBitはシステムのコストが安価で、導入や運用サポートも安心できた」と高く評価していただけました。
4.勤怠管理にRPAを導入するときのポイント
近年では勤怠管理システムや給与計算ソフトなど多種多様なツールが登場しており、各システム同士を柔軟に連携できるRPAツールは一定のニーズがあります。しかし、すべての作業環境にRPAツールが適しているとは限りません。
場合によっては、すでに導入している勤怠管理の手法とRPAツールの導入がミスマッチな可能性があるのも事実です。
ここでは、勤怠管理にRPAを導入するときのポイントについて解説します。
4-1.既存の勤怠管理方法に問題がないか確認
勤怠管理のためにRPAツールを導入するときは、既存の勤怠管理手法に問題がないか振り返りましょう。勤怠管理から給与計算までの手順を自動化していても、肝心のシステムを運用する方法に非効率的な作業が含まれていると、全体の業務効率化を実現できないのも事実です。
たとえば、残業通知などをRPA化できる一方で、メール送信の前に承認フローが挟まれているとそこがボトルネックになってしまいます。その結果、想定したような導入効果を得られない可能性も否定できません。
RPAツールは定型業務の自動化に適したツールで、人の判断がその都度求められる作業は効率化できない点に注意する必要があります。
4-2.環境に応じたタイプを選ぶ
自社の環境に合わせて導入するRPAツールを選ぶのもポイントです。具体的には、「クラウド」「デスクトップ」「サーバー」の3タイプが存在します。結論から述べると、小規模スタートの場合は「デスクトップ＞クラウド＞サーバー」の順で選ぶのがおすすめです。
| RPAツールの種類 | メリット | デメリット |
| クラウド（SaaS）型 | ・最短当日で導入できる ・サーバー準備等が不要でイニシャルコストが安い ・サービス提供者が管理するためメンテナンスフリー | ・自動化できる手順はWebブラウザに限られる ・オフライン下で動く独自システムとは連携できない ・サーバー障害などで稼働しない可能性も |
| デスクトップ型 | ・パソコン1台から導入できる ・サーバー準備が不要で導入コストもリーズナブル ・担当者レベルで管理しやすい ・複雑な管理体制が不要 | ・ツールを導入したパソコンしか稼働できない ・エリアをまたいだ導入など大規模運営には不向き |
| サーバー型 | ・会社全体に導入しやすい ・セキュリティ性を高めやすい ・複数の複雑な業務も自動化しやすい ・ロボットを管理しやすい | ・自前でサーバーを用意する必要がある ・システムを運用するIT人材が必要 ・導入や運用に大きなコストがかかる |
既存の勤怠管理システムをパソコン1台で稼働させているなら、「デスクトップ型」のRPAツールがおすすめです。それぞれメリット・デメリットが異なるものの、デスクトップ型RPAツールはスポット採用がしやすく、コストパフォーマンスの良さや運用も管理しやすいメリットがあります。
一方で、勤怠管理システムから給与計算ソフトまでWebブラウザで済ませている場合は、クラウド型RPAツールも相性に優れています。サーバー型RPAツールは自社に多くのリソースが求められるため、慎重な導入が求められる点に注意が必要です。
4-3.サポート体制で選ぶ
RPAを勤怠管理に利用するときは、提供ベンダーのサポート力に着目してみるのもポイントです。サポート体制の充実しているベンダーなら、自社独自の勤怠管理方法に合わせてRPAツールの運用方法をアシストしてくれます。
また、導入実績の豊富なRPAツールなら、勤怠管理でどのような作業を自動化できるのかノウハウを含めて提案してくれるのもポイントです。
完全オーダーメイドでRPAツールを制作するサービス「RaBit」なら、設計や開発、運用などの負担は一切かかりません。お客様は自動化したい手順をお伝えいただくのみで、プロがヒアリングをもとにRPAツールで実現できる業務効率化を徹底的にサポート。お客様の手を煩わせることもなく、勤怠管理のRPA化を実現できます。
5.まとめ
定型業務の自動化に優れているRPAツールは、勤怠管理の効率化にも優れています。出退勤の打刻ミスに関する通知や、法定残業に近づいたときの注意喚起メールなど、勤怠管理や人事業務の作業を自動化できるのがメリットです。
さらに、勤怠データの加工から給与計算ソフトへの転記、システムの実行まで自動化できるため、勤怠管理における一連のフローを大きく効率化できます。
勤怠管理の効率化を考えてRPAツールの導入を検討されている方は、ぜひ一度オーダーメイドで制作するサービス「RaBit」までお気軽にご相談ください。月々の利用料金は10,450円と低価格なコストで、幅広い定型業務の自動化を実現できます。