企業間取引で基本となる掛取引を行ううえで、入金消込業務はなくてはならない業務のひとつです。
しかし、入金消込業務は些細なミスから大きなトラブルに発展したり、確認の手間がかかったりと担当者の負担になっているケースも少なくありません。
この記事では、担当者の負担のもとになってしまいがちな入金消込業務を自動化するのに必要なツールについてご紹介します。
また、ツールの選び方のポイントについても解説していますので合わせてご参照ください。
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1.入金消込業務のよくある課題
入金消込とは、企業間取引で基本となる掛取引での売上金額である「売掛金」を、入金と照らし合わせて消して行く作業を指します。入金消込は、掛取引において欠かせない作業のひとつであるものの、人の手で行う場合ミスの可能性や確認の手間といった課題があるのも事実です。
ここでは、入金消込業務のよくある課題について解説します。
1-1.内容の確認に手間がかかる
入金消込業務の課題にあげられるのが、内容確認の手間です。
たとえば、請求書のフォーマットが取引先によって異なっていると、担当者はフォーマットごとに一つひとつ異なる箇所を確認しなければならず、チリも積もって大きな負担となります。
また、取引先の間違いなどの要因で、「入金予定額と実際の入金額」にズレが生じていると、消込ができなくなります。過不足の精算や繰越請求といった対応が必要となり、さらなる手間へとつながってしまいます。
1-2.ミスが重大な問題につながってしまう
小さなミスひとつで決算や納税に支障が出てしまうのも入金消込業務の抱える課題です。人間が手作業・目視で入金消込業務を行う以上、ヒューマンエラーによるトラブルのリスクが存在します。
入金消込業務でミスが起きてしまうと、二重請求や代金の未回収といった企業の信用に関わる事態へつながってしまうケースも少なくありません。そのため、ミスが発生しないように確認する担当者の精神的負担も大きなストレスになってしまいます。
1-3.業務の進め方が属人化してしまう
担当者のみが業務のやり方を把握している「属人化」に陥りやすいのも入金消込業務の課題です。
特に企業ごとに請求書のフォーマットが異なる場合では、個人的な判断のもとで業務を進めてしまい、入金消込業務が属人化している場合も。
そのような状況で業務担当者が退職・異動してしまうと、「今までスムーズにできていた入金消込に時間がかかる」といった状況になったり、ミスが起こりやすくなってしまったりする要因になりかねないため注意が必要です。
ココがポイント
業務の進め方が属人化すると、作業が担当者個人に依存してトラブルの元になってしまう
2.入金消込を自動化するメリット・デメリット
入金消込を自動化すれば、よくある課題の解決に繋がるケースも少なくありません。とはいえ、入金消込業務の自動化にはデメリットや気をつけるべきポイントがあるのをご存知ですか?
ここでは、入金消込を自動化するメリット・デメリットについてご紹介します。
2-1.メリット
入金消込を自動化する代表的なメリットが、作業の効率化や人為的エラーの防止です。手作業で行うと件数が多くなるほどミスや効率の低下などのリスクが増える入金消込作業でも、ITシステムで自動化すれば正確で素早く業務が実行されます。
また、入金消込作業の自動化はツールを使うため、業務が属人化しにくい利点もあります。
ツールはマニュアルさえ用意できれば、誰でも利用できる環境を用意しやすいため、手作業の入金振込業務の課題のひとつである属人化の解決に繋がります。
2-2.デメリット
入金消込業務を自動化するとさまざまなメリットがあるものの、自動化に必要なツールを導入するコストや手間が発生する点には注意が必要です。ツールを利用して入金消込を自動化しても、費用対効果が低く、結果として負担が変わらないケースもあります。
また、ITツールを利用する以上、適切な運用を行わなければエラーが発生する事例もあります。エラーが発生すると入金消込の自動化が止まってしまい、全体の業務に支障をきたす可能性も。
そのため、定期的なメンテナンスや、緊急時のマニュアルを用意するといった対応が大切です。
3.入金消込の自動化に必要なツール
入金消込の自動化を行うには、経理・会計ソフトや実際に自動化を行うRPAツールなどいくつかのITツールが必要です。
ここでは、入金消込の自動化に必要なそれぞれのツールについて解説します。
3-1.経理・会計機能を持つ専用ソフト
入金消込の自動化には経理・会計の機能を持つ専用ソフトが必要です。専用ソフトを利用すれば、入金消込の処理をシステム化しやすいだけではなく、経理関連のさまざまな機能が備わっています。
そのため、経理・会計関連の管理を一元化しやすく、入金消込業務以外にも利用できるメリットがあります。
なお、表計算ソフトでも代用可能です。入金消込業務の自動化を行うには関数やマクロを活用する必要があるものの、ある程度の専門知識が備わっていれば、経理・会計ソフトと似通ったシステムを再現できます。
3-2.ソフトの操作を自動化するRPAツール
RPAツールも入金消込を自動化するのには欠かせないツールのひとつです。RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、パソコン上で行う定型業務を自動化できる性能があります。
RPAは業務のルールさえ決まっていれば、PC上で動くソフトの多くに対応できる特徴をもっています。
そのため、必要な経理・会計ソフトを含めた入金消込業務に必要な一連のツールを自動化するのに必要なツールです。
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3-3.紙の請求書を電子化するツール
入金消込業務の自動化を行うには「OCR」ツールが必要な事例もあります。OCRとは「Optical Character Recognition/Reader」を略した言葉で、スキャナーやプリンター複合機を通して、読み取った紙の文書情報を電子データに変換できるツールです。
OCRツールを利用すれば、紙の文書をPCで扱えるようになるため、通常はPC上で扱えない紙の請求書でも自動化に組み込めるようになります。
言い換えれば、入金消込の自動化と共に既存請求書を読み込んでペーパーレス化も考えている人には必要不可欠なツールだといえます。
紙の請求書で取引を行っている場合は、OCRツールを導入してRPA化による自動化が必要です。
ココがポイント
OCRで読み込んだデータも、RPAを通じて入金消込の作業を自動化できる
4.入金消込を自動化するRPA選びのポイント
RPAツールにはさまざまな種類があります。ツールによって適している業務内容、料金、利用・導入難易度など多くの違いがあるため、入金消込を自動化する際にはしっかりとツールを選定する必要があります。
ここでは、入金消込を自動化するRPA選びのポイントについてご紹介します。
4-1.自社の経理システムを自動化できるツールを選ぶ
自社の経理システムを自動化できるのか、事前の確認がRPAツールを選定する際に特に重要なポイントです。RPAは種類によって自動化に適している作業範囲が異なり、場合によっては入金消込の自動化に対応していないソフトもあります。
自社の環境に合っていないRPAを導入した結果、RPAを活用できなかったといった事例もまれに見かけられます。そのため、あらかじめ自社の経理・会計ソフトが対応しているかの確認が大切です。
RPAの過去の導入事例を確認し、同様の経理・会計ソフトを使い入金消込を自動化している事例を探すほか、ベンダーに直接問い合わせるのも方法のひとつです。
4-2.導入や運用にかかるコストを確認する
RPAツールを導入する際にかかるコストを確認し、自社にあったRPAを選ぶのも大切です。RPAツールを利用するには、導入時の初期費用や運用開始後の月額費用といったコストがかかります。
コストはツールの種類やベンダーによって変わり、基本的には対応業務の規模が大きくなるほど費用も高くなる傾向にあります。
場合によっては、RPAツールの導入が逆に自社への負担へなってしまう事例も。あらかじめ自社の入金消込業務を自動化するとどの程度の費用がかかり、費用対効果はどの程度見込めるのかチェックしたうえで導入を進めるのが大切です。
4-3.サポートが充実しているRPAツールを選ぶ
RPAツールを選ぶ際には、サポート体制の手厚いベンダーを選ぶのもポイントです。なかには、企業内にITスキルを持った人材がいないケースも少なくありません。
ITスキルを持った人材がいなければ、「RPAの導入や入金消込業務の自動化ができない」といった事態に陥ってしまう場合も。
そのようなときは、サポート力が充実したベンダーを選べばIT人材の不足問題を解消できます。RPAツールのなかには導入から運用後のサポートを提供しているベンダーもいるため、自社のITスキルに自信がない場合にはサポートが充実しているRPAを選択すると安心です。
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5.まとめ
入金消込業務は請求書の確認の負担が大きいほか、些細なミスが大きなトラブルにつながるなど、さまざまな課題を抱える業務です。そこで、入金消込を自動化すれば、担当者の負担軽減に繋がったり、ヒューマンエラーを削減したりと、多くの課題を解決できるメリットがあります。
とはいえ、入金消込の自動化はコスト面で負担になったり、自動化システムのエラーのリスクがあったりと気をつけるべきポイントがあるのも事実です。適切に自動化できないと費用対効果が得られないだけでなく、トラブルに発展する事例も少なくありません。
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