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SAPとRPAの特徴や連携方法は?ツール選びのポイントも解説

近年ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で業務効率化に取り組む企業が年々増加傾向にあります。設定した動作を繰り返し行えるRPAは、定型業務の自動化にも最適です。

そんなRPAを、「SAP社が提供するERP(総合基幹業務システム)と連携させたい」と考える方も少なくありません。

この記事では、SAPとRPAの違いとはなにか、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。導入や連携を検討されている方へ向けたツール選びのコツについても触れていますので、あわせてご参照ください。

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 1.SAPとは?

1.SAPとは?

SAPとは、ドイツに本社を置くソフトウェア会社です。また、SAP社が提供しているERP(総合基幹業務システム)も「SAP」と呼ばれます。どちらも同じSAPですが、「システム・ソフトウェアとしてのSAP」はほとんどのケースでERPパッケージを指すケースが一般的です。

SAPは経理や販売・在庫管理など企業内の部門別業務を一元管理できるシステムで、幅広い業務効率化に役立つソフトウェアです。

“SAP”には、ERPシステムや業務統合パッケージなど幅広い呼び名が存在します。

 1-1.SAPのERP製品に含まれる機能

SAPのERP製品には、用途の異なる機能がいくつかまとまっています。SAPでは「モジュール」と呼ばれている機能で、それぞれがモジュール単位で活用できるため、必要な機能だけを導入することが可能です。

SAPのERP製品にはいくつかのモジュールが用意されていますが、ここでは4つのモジュールをご紹介します。

・FI(Financial Accounting)
SAPの「FI(Financial Accounting)」は、財務会計システムです。財務・経理部門での利用が想定されます。管理している業務データがすべてFIモジュールに入る仕組みのため、SAPを導入する際はFIモジュールの使用が欠かせません。

・CO(Controlling)
SAPの「CO(Controlling)」は、業績管理システムです。内部向けの報告書等を作成することができ、部門単位で業績や間接費をチェックできます。FIモジュールでお金周りの動きを把握したうえで、COモジュールで管理する仕組みがSAPの基本です。

・SD(Sales and Distribution)
SAPの「SD(Sales and Distribution)」は、販売管理システムです。SDモジュールでは、「受注先はどこか、どこに、なにを納品するのか」「納品物の価格」「送付先に合わせた請求書等のフォーマット」といったシステムを一元管理できます。
納品が確認された売上は自動的に財務会計システムのFIモジュールと連携するため、受け取り代金等も一括で確認できるメリットがあります。

・MM(Material Management)
SAPの「MM(Material Management)」は、在庫管理システムです。「なにを、どこに発注したのか」「発注価格を正確に把握」などの在庫・調達に関するさまざまな業務を一元管理できます。
在庫の管理機能や発注先・発注物の一元管理、抱えている在庫数や金額、棚卸し処理まで幅広くサポートしています。

ココがポイント


SAPは必要な機能だけをモジュール単位で取り入れられる

 1-2.SAPを導入するメリット

システムとして完成度の高いSAPを導入すれば、企業におけるさまざまな業務を1つのツールに集約できます。さまざまなデータを一元管理できるため、多重入力などのミスを防ぎやすいほか、経営問題の“見える化”にも役立つとされています。

SAPを導入する代表的なメリットは以下のとおりです。

業務の効率化

日本企業で見られる業務承認を複数重ねる手続きも、SAPを導入すればスピーディな意思決定が下しやすくなります。
世界でスタンダードな手順に標準化されるため、業務プロセスを効率化できる点がメリットです。

社内システムの開発コスト削減や期間短縮

SAPは総合基幹業務システムとして、それ単体でさまざまなシステムを代用できます。
今までは社内システムを開発していた企業も、それらのコストを削減したり、より必要性の高いシステム開発に注力して開発期間を短縮したりと、さまざまなメリットを得られます。
また、付加価値を加える開発も、ゼロから構築するより安上がりに済む点がメリットです。

セキュリティの一括管理

システムは定期的にメンテナンス・アップグレードを行わなければ、セキュリティホールなどの問題が発生します。
SAPならシステムを一括で管理してメンテナンス・アップグレードできるため、「見落としていたシステムのセキュリティ問題」といったトラブルも発生しにくくなります。

意思決定などの高速化

SAPには、企業の経営に必要なデータが多数集約されており、リアルタイムで内容が更新されていきます。そのため、経営判断に必要なデータを瞬時に把握し、意思決定などもスピーディに判断できる点がSAPを導入するメリットです。

ココがポイント


SAPはさまざまな部分を効率化するシステムが搭載されているため、不要な手順をカットして本来の業務に注力しやすくなり、結果として生産性向上も見込める

 1-3.SAPを導入するデメリット

SAPを導入すれば多くのメリットを受けられる一方で、いくつかのデメリットも存在します。特に、既存のシステムと置き換える場合は、機能や使い方について学習・教育する手間が掛かる点に注意が必要です。

SAPは豊富なモジュールが用意されており、さまざまな業種に対応できるからこそ、複雑な設定・手順が求められます。それらを扱えるレベルになるまで、少しトラブルが起きてしまう可能性も否めません。

SAPを導入して業務を効率化させるメリットを最大限享受するためにも、社員からの理解が必要不可欠と言えます。

また、SAPに既存システムから乗り換える際は、データの整理・加工などの手間が発生する可能性もあります。それらのデータを移し替える過程でミスが生じてしまわないよう、しっかりとした体制の構築が必須です。

そして、SAPを導入する最後のデメリットがコスト面です。

仮にシステムをオンプレミスで社内に導入する場合、ソフトウェアのライセンス料金や、構築料金、サーバーの維持費などさまざまなコストがかかってしまいます。

コスト面や導入に関する手間・社員の理解度を除くと、SAPを導入するデメリットはほとんどないと言っても過言ではありません。

 2.RPAとは定型業務を自動化できるツール

2.RPAとは定型業務を自動化できるツール

SAPと同じく、業務の効率化に際して注目を集めているツールが「RPA(Robotic Process Automation)」です。RPAはPCを使った定型業務の自動化に適したツールで、近年ではさまざまな企業が導入を進めています。

ここでは、RPAツールとはなにか、自動化できる作業例やRPAとSAPを連携させるメリットについてご紹介します。

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 2-1.RPAツールで自動化できる作業の例

SAPと同じく、RPAツールも幅広い業務に適応できるツールです。RPAツールで自動化できる作業でも、「データの登録・転記」作業は主流な選択肢のひとつです。

異なるフォーマットでも、それぞれの転記すべきポイントなどを確定しておけば、請求書や経費の発注・受注・納品といった処理業務をほとんど自動化できます。

数値に差異があればエラー通知を送るのも自動化できるため、ミスの抑制効果も期待できます。

また、システム同士の連携もRPAツールで自動化できる作業のひとつです。たとえば、社内システムに入力されたデータも、RPAツールによってSAPのシステムへ自動的に反映させられます。

ほかにも、システム上で算出された額をもとに、RPAツールが自動的に金融機関のWebバンキングを操作するといった手順もRPA化できます。

基本的には、特定条件下において、あらかじめ決められた動作を自動化できる仕組みがRPAツールの強みと言えるでしょう。

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 2-2.RPAとSAPを連携するメリット

定型業務を自動化できるRPAツールとSAPツールを連携すれば、さまざまなメリットを得られます。RPAツールならSAPの操作も自動化できるため、さまざまな業務プロセスを効率化しやすくなります。

たとえば、請求書の作成では発注データを営業から経理に引き渡して発行しなければなりません。

そこでRPAとSAPを連携させておけば、営業担当社がシステムに発注データを入力するだけで、自動的に経理のシステムに反映され、さらに見積書や請求書といった発行も自動化が可能です。

また、データを入力する際の転記ミスも、RPAとSAPを連携させれば起こりません。データの転記はすべて正確に行われるため、入力元が間違えていなければ再度のチェックやヒューマンエラーによるトラブルに見舞われる心配を削減できます。

そのため、従業員に掛かる業務負担を軽減する効果も期待できます。また、RPAとSAPを連携させれば自動化する対象がSAPに限定されるため、野良ロボットなどの発生も防ぎやすくなるなど、保守管理のしやすさもメリットです。

 2-3.RPAとSAPを連携するデメリット

RPAとSAPを連携するデメリットのひとつに、自動化の初期設定に掛かる手間があげられます。誰しも簡単に行える手順ではなく、一定のITスキルが求められたり、使用しているツールによってはプログラミング言語への理解力が必要だったりします。

また、導入したRPAツールによっては、SAPの操作を自動化できない事例も。システムを効率的に運用するためにも、SAPと連携させるRPAツールは事前の選定が大切だといえます。

さらに、RPA自体の動作にトラブルが生じた場合、SAPを使った業務全体に大きな支障が出てしまう可能性があるのも事実です。RPAとSAPを連携させるデメリットの対策として、導入・運用前のリスクマネジメントが重要だと言えます。

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 3.SAPと連携できるRPAツールの選び方

3.SAPと連携できるRPAツールの選び方

SAPとRPAツールを連携させればさまざまな業務を効率化しやすくなりますが、すべてのRPAツールがSAPに適しているとは限りません。RPAのシステムによっては、SAPをうまく操作できない可能性もあります。そのため、SAPの使用を前提としたRPAツールの選び方には注意が必要です。

ここでは、SAPと連携できるRPAツールの選び方についてご紹介します。

 3-1.SAPの操作で自動化したい部分を明確にする

RAPツールでSAPの操作を自動化する前に、どの部分を自動化すべきかを洗い出す必要があります。操作を自動化したい部分が明確でなければ、適切な導入効果を得られなくなってしまう可能性も。

すべての既存業務をSAP&RPAで自動化するのではなく、高い導入効果を得られそうな作業に注力するのがポイントです。そのため、「何をやりたいのか」を明確化したうえで、それに沿ったRPAツールを選ぶことが重要です。

どのような業務を自動化するか作業を振り返って明確化すれば、既存業務を効率化できるポイントを可視化できるメリットもあります。

 3-2.RPAツールにSAPの自動化機能があるか確認する

先述した通り、すべてのRPAツールがSAPの自動化に適しているとは限りません。最初に洗い出した業務をもとに、自動化したい業務に必要な機能が備わっているRPAツールを選定する必要があります。

たとえば、SAP社が提供している「SAP Intelligent RPA」や、SAPから認定を受けている「UiPath」などはSAPの自動化に長けたRPAツールです。
とはいえ、純正・認定品以外のRPAツールでも、SAPの作業を自動化できます。

カスタマイズや機能性に応じてSAPの自動化機能が備わっているソフトウェアも多くなっています。また、必要に応じて「SAP GUI Scripting」と呼ばれるSAPの機能を併用すれば、自動化できる作業の幅をより広めることが可能です。

「SAP GUI Scripting」なら、追加ライセンス不要でSAPを自動化できるのもメリットのひとつ。しかし、Excelマクロ等で自動化するような作業範囲しか自動化できないため、ほかのアプリとの連携力などではRPAツールにいくつか見劣りしてしまう面があります。

SAPをRPA化できる範囲が狭かったとしても、さまざまなシステムを組み合わせるなどの工夫で自動化できる業務を増やせます。SAPを自動化できる機能を重視してRPAツールを選ぶことは大切ですが、一定のITスキルがあれば問題を解決しやすくなるため、一概に必須とは言えません。

 3-3.導入コストやサポート内容を比較検討する

RPAツールを使ったSAPの自動化を検討している場合は、導入コストやサポート内容を比較検討するのもポイントです。ベンダーによっては、手厚い導入サポートやカスタマイズなども行ってくれる企業もあり、導入・運用面に掛かる心配事を大きく減らせます。

また、機能面の条件をクリアしているRPAツールを選ぶときは、導入コストをよく比較してみましょう。「SAP Intelligent RPA」や「UiPath」は高機能さが特徴ですが、すべての機能を余すことなく活用している企業は少なくなっています。

導入コストと導入効果が見合わない事例も度々見かけられるため、自動化したい業務の規模によってはほかのRPAツールを導入するのもポイントです。

導入・運用に掛かる総合的な費用を抑えられるツールを選定すれば、総合的なコストパフォーマンスを高められます。SAPの自動化が目的でRPAツールを選ぶときは、導入で得られる効果を算出したうえで、導入コストやサポート内容の比較をおすすめします。

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 まとめ

まとめ

SAP社が提供する「ERP(総合基幹業務システム)」は、転じてSAPとも呼ばれています。SAPは業務効率化に役立つシステムですが、RPAツールと組み合わせればより優れた導入効果を得られます。

そのため、近年ではRPAツールを用いてSAPの操作を自動化する企業も少なくありません。とはいえ、実際にSAPの操作をRPAで自動化するには、いくつかのITスキルやツールの導入費用などが掛かってしまいます。

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