単純作業の効率化を実現するため、「RPAツール」を活用して定型業務を自動化する事例が多くなっています。そのような業務効率化ツールとして、近年さらに注目を集めているのが機械学習によるAIの活用法です。
RPAとAIの機械学習を混同してしまう方も少なくありませんが、両者は明確に異なる仕組みです。
この記事では、RPAと機械学習の違いについて解説したうえで、それぞれを組み合わせて使うメリットや活用事例について紹介します。
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1.RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上で稼働するロボットを使い、事前に入力した作業を繰り返すシステムを指します。たとえば、エクセルのデータをコピペしたり、自社システムから請求書の特定フォーマットに転記したりする作業の自動化が可能です。
RPAで稼働するソフトウェアロボットはデジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれ、多くの企業で導入が進められています。作業手順の定まった定型業務をスムーズに行えるほか、事前に設定した手順書(シナリオ)通りに業務を進めるため、ヒューマンエラーも発生しないのが魅力です。
1-1.RPAが注目される背景
RPAツールが注目される背景に、社会全体の人手不足が影響しています。日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少しつつあり、2050年時点では5,275万人まで減少すると見込まれています。
2023年(令和5年)時点の15~64歳の労働力人口は男女合計5995万人のため、人手不足の現状からさらに人材が不足するのは避けられません。また、働き方改革で長時間労働が是正された影響もあり、コア業務に注力しにくい状況が続いていました。
さらに、「2025年の崖」と呼ばれるIT人材の不足やインフラの老朽化問題も課題とされています。そのような背景から、定型業務や単純作業の自動化に最適なRPAツールの導入が進められています。
出典:総務省「白書令和4年版 生産年齢人口の減少」
出典:統計局「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の要約」
1-2.RPAを導入するメリット
RPAを導入すれば、以下のメリットを得られます。
- 作業を自動化して工数を削減できる
- 長時間労働や人手不足を解消できる
- ヒューマンエラーを防げる
- 24時間365日作業できる
RPA化によって、単純作業の効率化や定型業務を自動化すれば、工数の削減や人手不足問題を解消できます。また、24時間365日稼働し続けられるため、人の代わりに単純作業を遂行して長時間労働の問題を解消しやすいのもメリットです。
加えて、RPAツールは事前に設定された作業を正確に繰り返します。注意力の欠如などから起きるヒューマンエラーも発生しないため、ミスのチェックなど二重の手間が発生する負担も削減できるのは大きなメリットです。
2.機械学習とは
機械学習とは、パソコン(機械)にデータを読み込ませて学習し、データの背景やルール、パターンを発見する手法です。機械学習によって、人間が行う学習と同じような仕組みをコンピューター上で再現できます。
機械学習と似た言葉に「人工知能」や「ディープラーニング」があり、AI(人工知能)の下位に機械学習やディープラーニングなどが含まれます。とはいえ、機械学習にもさまざまなパターンがあるのも事実です。
たとえば、「大量の画像を読み込ませて犬か猫かを判別できるようにする」といった結果を出すためには、「教師あり学習」「教師なし学習」「学習教科」などでルールやパターンを学習させなければなりません。
2-1.教師あり学習
教師あり学習とは、学習データに「正解」を与えた状態で学習させる機械学習の方法です。たとえば、「犬の写真」を「犬」と正解を認識させたうえで学習させ続けて、「犬のような写真」を見たときに「これは犬」と回答させる手法になっています。
トレーニングデータや教師データと呼ばれる学習データを用いるため、正解・不正解を明確に判断しやすいのがメリットです。教師あり学習は、「電子メールのスパムメール判定」「過去の売上データから今後の売上を予測」などに応用できます。
2-2.教師なし学習
教師なし学習とは、正解を与えないまま学習データを学ばせる機械学習の手法です。「クラスタリング」や「次元削減」などが代表的な例としてあげられます。
大量のデータを分析してパターンを覚えさせるため、従来では気付けなかった関連性を発見し、固定観念を抜け出して未知のパターンを見つけ出せる手法になっています。
データを特徴づける情報を抽出してグループ分けでき、コストを大きく掛けずに学習結果を得られるのがメリットです。ただし、グループ分けとして関連性の近いデータを提出するのみであり、正解・不正解かの判断は行えません。また、導き出される結果も好ましいとは限らないため注意が必要です。
教師なし学習は、「画像データを見て性別や年齢で分ける」「購入履歴を見て、おすすめ商品をレコメンドする」などに応用できます。
2-3.強化学習
強化学習とは、「どのような行動で最大限の利益(報酬)を得られるか」を学ばせる機械学習の手法です。自ら正解を導き出していく過程は「教師あり学習」と似通っていますが、強化学習は与えられたデータをそのまま学習するだけでなく、長期的視点で価値を最大化することを重視しています。
どのようなタイミングならもっとも大きな報酬を貰えるか、または報酬を貰えなかった原因は何かをスコア付けしていき、もっとも効率的な行動を機械学習で学ばせる手法です。
強化学習は、「株式売買できる理想的なタイミングを見極める」「囲碁や将棋で理想的な一手を見つける」などに応用できます。
3.RPAと機械学習の違い
RPAと機械学習はまったく異なるものです。RPAは単純作業の自動化や定型業務の効率化に役立つツールで、すでに完成したソフトウェアとしてシステムが提供されている事例も多くなっています。
一方で、機械学習は機械に学習能力を持たせて自ら判断を下せるようにする手法です。近年では深層学習(ディープラーニング)も注目を集めており、機械学習等をあわせて情報を処理するたびに精度が向上していく特徴を持ちます。
RPAは事前に設定したシナリオ通りに動くツールですが、機械学習は特定のタスクを機械に学ばせて実行させるシステムです。特徴や法則を掴んでクリエイティブな業務に応用できる機械学習と、単純作業を効率化して人がコア業務に注力できるようにするRPAでは、働き方が異なります。
4.RPAの3つのクラス
RPAには3つのクラスが登場しており、それぞれ能力や働きが大きく異なります。具体的な違いは以下のとおりです。
Class1 | Class2 | Class3 |
RPA(Robotic Process Automation) | EPA(Enhanced Process Automation) | CA(Cognitive Automation) |
RPA | RPA+AI | |
定型業務の自動化。 複数のアプリをまたいだデータの転記や自動入力など、作業の定まった定型業務を自動化できる | 一部非定型業務の自動化。 非構造化データを収集・分析して、形式が定まっていないデータを取り扱う非定型業務も自動化できる | 高度な自律化。 人工知能を組み合わせて作業意図を深堀りし、意思決定から分析・改善までじどうかできる |
出典元:総務省「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」
現状、RPAツールの多くはClass1~2の製品が多くなっています。Class2では、問い合わせ内容をAIが判断して自動的に分類し、あらかじめ登録した回答をRPAで送信するといったフローを自動化している製品もあります。
しかし、現状Class3は実用化されていません。AI技術が発展するにつれて、将来的に実現可能となれば多くの企業が導入を進めるのは間違いないでしょう。
5.RPAと機械学習を組み合わせるメリット
RPAと機械学習のAIを組み合わせれば、さまざまなメリットを得られます。RPAは指示した作業のみを自動化するため、イレギュラーな処理に弱く、定型業務しか自動化できません。
一方で、機械学習を含むAIとRPAを連携すれば、ある程度のイレギュラーが発生しても自分で判断して処理する仕組みを構築できます。また、創造性や判断力が求められる業務の自動化も実現しやすいのが特徴です。
たとえば、RPAツールでWebスクレイピングを行い口コミや競合調査を行った後、集めたデータをAIが分析してレポート化したり、売上予測したりといった作業を行えます。RPAと機械学習のAIを組み合わせれば、従来の業務を早く、大量に処理できる未来が近づいています。
6.RPA×機械学習の活用事例
近年ではRPAと機械学習を併用した活用事例も見かけられます。
- 手書き書類を社内システムに登録
- 気象情報やイベントをもとに売上を予測
- おすすめ商品を提案
- クレジットカードの不正利用を防止
ここでは、RPAと機械学習の活用事例をご紹介します。
6-1.手書き書類を社内システムに登録
文字認識機能を搭載したAI-OCRとRPAツールを組み合わせれば、手書き書類を社内システムに転記する仕組みも自動化できます。手書き文字の認識率を機械学習によって高めることで、誤認識を減らし、スムーズな資料のデジタルデータ化を行えるのがメリットです。
デジタル化されたデータはRPAツールを用いて社内システムに自動で登録できるため、人は文字を入力せずミスや誤認識がないかチェックするだけで済みます。
6-2.気象情報やイベントをもとに売上を予測
機械学習によるAIで気象情報やイベントのデータを読み取り、将来の売上を分析して予測できるのも特徴です。たとえば、「機械学習で気温が高い日は飲み物やアイスが売れると判断→天気予報が一定の条件を満たしたら通知する」などを行います。
そのうえで、発注システムとRPAツールを連携させれば、「機械学習結果の通知が来たら在庫を発注する」作業まで自動化が可能です。機械学習によるAIが商品等の売上需要を予測して、RPAがそれに準じた在庫数を発注するため、接客などのコア業務に注力しやすくなります。
6-3.おすすめ商品を提案
機械学習により顧客の属性や購買履歴を見極めて、似通ったグループで好まれやすいおすすめ商品をレコメンドする仕組みも構築できます。ECサイトなどでもよく取り入れられている仕組みです。
加えて、RPAツールによってECサイトを離脱したユーザーにレコメンドメールを通知する仕組みも自動化できます。サイト上では機械学習のAIが商品をおすすめし、購買せずに離脱したユーザーにはRPAで購買意欲をそそるメールを自動発信する作業もシステム化できます。
6-4.クレジットカードの不正利用を防止
過去の不正取引パターンを機械学習させたAIで、怪しい取引を検知する仕組みも近年ではよく見られる技術です。アラート通知などを出して担当者や利用者にメール送信を自動化できるため、効率よく安全性を高められます。
そこでRPAツールも併用すれば、「カードの停止」「顧客情報の転記」「新規カード発行・発送手続き」といった一連のシステム操作を自動化できます。RPAツールは異なるシステム間でもデータの入力を行えるため、オペレーターが応対中にボタンを1つ押すだけで、すべての作業を代行できるのがメリットです。
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RPAと機械学習はまったく異なる仕組みですが、将来的にはAIを搭載したClass3のRPAツールが登場するとも言われています。機械学習のAIとRPAツールを組み合わせれば、「単純作業の効率化」だけでなく、「非定型的な判断力も備わる」ため、多くの業務を効率化できると期待されています。
Class3のRPAツールが登場するのはまだ先かもしれません。とはいえ、AI-OCRなどの製品とRPAツールを組み合わせた活用事例はよく見られており、RPAと機械学習は一概に無関係とも言えないでしょう。
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