近年、AIが目覚ましい勢いで進化するなか、WindowsPCに搭載される「Copilot」が注目を集めています。非定型業務の効率化に役立つ「Copilot」ですが、そこに定型業務を自動化できる「RPA」も導入することで、さらなる業務効率化を実現できます。
この記事では、「Copilot」×「RPA」で業務をどのように効率化できるのか、それぞれの特徴からできること、メリットを徹底解説します。CopilotとRPAツール活用の具体例についても解説しますので、あわせてご参照ください。
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1.Copilotとは
「Copilot(コパイロット)」とは、Microsoftが開発したAIを活用した業務支援ツールです。さまざまなアプリケーションに組み込まれており、ユーザーの作業をサポートします。たとえば、Excelでデータ分析を支援したり、PowerPointでスライド作成を支援したりできるのが特徴です
以前は「Bing Chat」と呼ばれていましたが、2023年12月以降に「副操縦士」を意味する「Copilot」へと名称が変更されました。Microsoftアカウントがあれば無料で利用でき、文章やコーディング、画像などさまざまなものを生成できるのが特徴です。
1-1.CopilotとChatGPTの違い
CopilotとChatGPTはどちらもAIを活用したツールですが、その目的や機能が異なります。 ChatGPTは、主に自然言語処理に特化した対話型AIであり、ユーザーとの対話を通じてさまざまな質問に答えたり、文章を作成したりするのがメインです。
一方で、Copilotは特定のアプリケーションにも組み込まれており、そのアプリケーションの操作を支援する機能にも長けています。たとえば、Copilotを活用すれば、Excelでのデータ分析やグラフ作成を支援できるのが特徴です。
さらに、CopilotはWeb上を検索してリアルタイムで情報を収集できるのも特徴です。
ChatGPTは2024年8月時点で「2023年9月」までしか情報を学習していないため、新しい発見やトレンドに対応することはできません。一方で、Copilotはリアルタイム検索により、ニュースや天気など常に最新情報を回答できるといった大きな違いがあります。
ココがポイント
「ChatGPTはコンテンツ生成を始めとする創造性の向上」「Copilotは業務領域の効率化」をそれぞれ得意とするAI
1-2.Copilotの料金体系
Copilotの料金体系は、利用するアプリケーションやプランによって異なるものの、機能自体は無料で利用できます。個人利用も可能なため、気軽に活用できるのが魅力です。Copilotの具体的な料金体系は以下のとおりです。
プラン名 | 料金 | 機能 |
---|---|---|
Copilot | 無料 | ・テキスト、音声、画像機能を使用したチャット ・ドキュメントや Web ページの要約 ・イメージ画像の作成 ・プラグインと Copilot GPT の使用 ・ビジネス向けの商用データ保護(Microsoft Entra ID ユーザー限定) |
Copilot Pro | 3,200円/月 | ・ピークタイムでもより迅速に応答 ・迅速なAI画像生成に対応 ・厳選されたMicrosoft 365 アプリも利用可能 |
Copilot for Microsoft 365 | 4,497円/月相当 | ・Word、Excel、PowerPoint、OneNote、OutlookなどのCopilot機能 ・TeamsのCopilot機能・企業向けデータ保護仕様 ・Copilot Studioを通したカスタマイズ/拡張 |
Copilotの基本的な機能は、無料プランでも利用できるものの、ビジネス向けの商用データ保護などはMicrosoft Entra ID (旧称 Azure Active Directory)での利用が求められます。
また、ピークタイムなどは応答速度が遅くなるため、頻繁に業務へ活用する場合はCopilot Proの契約がおすすめです。
2.RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、ソフトウェアロボットを使って、これまで人間が行っていた定型業務を自動化する技術です。 RPAツールを使用すれば、「データ入力・転記」「ファイル転送やフォルダ振り分け」「Webスクレイピング」などの繰り返し作業を自動化できます。
Copilotと同じく、RPAツールは業務効率化や人手不足解消に役立つツールとして、近年多くの企業で導入が進められています。プログラミングの知識がなくともマウス操作だけで設定できるソフトウェアも登場しており、非IT人材でもさまざまな業務を効率化できるのが魅力です。
2-1.RPAツールでできること
RPAツールは、さまざまな定型業務を自動化できます。パソコン上で行う手順の定まっている作業なら、ほとんどをRPA化して業務を自動化できるのが特徴です。具体的には、以下のような業務に適しています。
- ルールが明確な業務
- 大量のデータを扱う業務
- 繰り返し処理する業務
たとえば、請求書処理やデータ入力・転記、在庫管理など、さまざまな定型業務を自動化できるのがRPAです。RPAツールはルールベースで動作するため、あらかじめ定義された手順に従ってミスなく作業を行えます。
2-2.RPAツール「Power Automate」の特徴と料金体系
Microsftは、AIツールのCopilotだけでなく、RPA機能を搭載した「Power Automate」も提供しています。ドラッグ&ドロップで簡単にフローを作成できるため、プログラミングの知識がなくても利用できるのが特徴です。
さらに、Microsoft 365との連携が容易で、さまざまなアプリケーションと連携して自動化フローを作成できます。Power Automateの具体的な料金体系は以下のとおりです。
プラン名 | 料金 | 機能 |
Power Automate Premium | 1ユーザー2,248円/月 | ・クラウド フロー(DPA) ・アテンド型デスクトップ フロー (RPA) ・標準、プレミアム、カスタム コネクタ ・プロセスとタスク マイニング |
Power Automate Process | 1ボット22,488円/月 | ・クラウド フロー (DPA) ・非アテンド型デスクトップ フロー (RPA) ・標準、プレミアム、カスタム コネクタ |
Power Automate Hosted Process | 1ボット32,233円/月 | ・クラウド フロー (DPA) ・非アテンド型デスクトップ フロー (RPA) ・Microsoft ホステッド仮想マシン ・標準、プレミアム、カスタム コネクタ |
アテンド型とは、ユーザーがPCでログインしている状態など、有人状況で稼働するシステムを指します。一方で、非アテンド型はユーザーがサインアウトしている状態でも実行できるのが特徴です。
小規模な業務効率化では、「Power Automate Premium」やWindowsなら無償で利用できる「Power Automate Desktop」も選択肢にあがります。一方で、チーム単位やより大規模な業務効率化を検討する場合は、非アテンド型に対応した「Power Automate Process」「Power Automate Hosted Process」もおすすめです。
また、「Power Automate」はRPAツールとしてだけでなく、「Copilot」のAI機能を搭載しているのもポイントです。
通常ではRPAツールを稼働させるためのシナリオを制作する手間が掛かるものの、「Power Automate」なら「Copilot」を使って自然言語で自動化したい処理を伝えるだけで、一部業務を効率化できる魅力があります。
3.Copilot × RPAツールでできること
CopilotとRPAが合体した「Power Automate」を活用すれば、シナリオ制作を効率化できるのが大きなメリットです。
従来のRPAツールでは、業務を自動化するためにロボットへの命令文である「シナリオ」を作成する必要がありました。たとえば、ウェブで検索する業務では、「ブラウザを開く→検索窓に〇〇と入力する→検索ボタンを押す…」といった具合に、手順を細かく分解して指示しなければなりません。
ソフトウェアによってはプログラミングの知識は不要なものの、それでも詳細な手順を指示する手間のかかる作業が必要でした。
そこで、CopilotとRPAが合体した「Power Automate」が注目を集めています。CopilotのAI処理機能により、言葉で「◯◯の作業を自動化したい」と伝えるだけで、自動でRPAを動かすシナリオを制作してくれるのが特長です。
たとえば、「Webの◯◯を検索して結果Excelにまとめてください」と指示すれば、各フローを自動化するRPAのシナリオを制作できます。Copilot × RPAツールによって、定型業務をスムーズかつスピーディに自動化できるため、業務効率化を推進できるのが魅力です。
4.CopilotとRPAツールを導入するメリット
CopilotとRPAツールを導入すれば、さまざまなメリットを得られます。特に、業務効率が大幅に向上するのは大きなメリットです。具体的には、以下のような導入効果を得られます。
- Copilot:日常業務の効率性や生産性を高められる
- RPA:作業時間の短縮やミスの削減、コストカットを実現できる
- Copilot×RPA:パフォーマンスとチェックの効率化、アイディア出しなどの効率化
たとえば、AIツールのCopilotは文書作成やデータ分析など、従来人が行っていた領域の業務をサポートできます。プレゼン資料の作成を効率化したり、ビジネスメールの要約や自動返信を行えるのもメリットです。
加えて、RPAツールを導入すればデータの転記やWebからの情報収集、特定ルーティン作業などの業務を自動化できます。ミスなく完璧に作業を繰り返すため、ヒューマンエラーによるミスの削減や、残業を減らして人件費のコストカットなどを実現できるのがメリットです。
そして、Copilot×RPAを連携すれば、幅広い業務を効率化できるようになります。たとえば、Copilotのアイディア出しプロンプトをRPAが自動入力するように設定し、出力内容をExcelにまとめる作業を自動化できます。
大量のプロンプトにはAIも処理に時間が掛かってしまいますが、24時間365日稼働できるRPAと組み合わせれば、夜間にアイディア出し&結果をExcelでわかりやすくまとめるといったフローを構築できるのは大きなメリットです。
5.CopilotとRPAツール活用の具体例
CopilotとRPAツールを連携すれば、幅広い業務を効率化できます。活用の具体例としては以下のような作業も効率化することが可能です。
- 具体例①件名に「重要」が含まれるメールを受信したらTeamsに通知する
- 具体例②最新のニュース記事をピックアップしてChatworkで共有する
ここでは、CopilotとRPAツール活用の具体例について紹介します。
5-1.具体例①件名に「重要」が含まれるメールを受信したらTeamsに通知する
CopilotとPower AutomateのRPAを組み合わせれば、件名に「重要」が含まれるメールの受信にあわせてTeamsに通知する仕組みを設定できます。
- Power AutomateでOutlookのメール受信をトリガーとするフローを作成する
- Copilotを使ってメールの件名を分析し、「重要」という単語が含まれているかどうかを判定
- 「重要」という単語が含まれていれば、RPAでTeamsに通知を送信
さらに、Copilotの文章作成機能を活用すれば、返信に必要な労力を最小限に抑えてコミュニケーションコストを削減することも可能です。
5-2.具体例②最新のニュース記事をピックアップしてChatworkで共有する
CopilotとRPAツールを組み合わせれば、Copilotに最新のニュース記事をピックアップしてもらい、Chatworkで共有するフローも自動化できます。
- 「今日東京都でトレンドになっているニュースの話題は?」などの質問文をエクセルにまとめる
- RPAを使って、質問文のプロンプトをCopilotに転記するフローを構築
- Copilotが質問文に沿って最新ニュース記事などの情報を出力
- RPAを使って、出力情報をChatworkに添付&送信
RPAツールを使えば、エクセルを開く流れからCopilotの立ち上げ、文章のコピー&ペーストやChatworkの立ち上げ~送信まで自動化できます。AIを使った調べ物にはわずかに時間が掛かってしまうものの、RPAを使って全工程を自動化すれば、待機時間を大幅に削減できます。
そのため、「多くの情報をCopilotで聞き出したい」「毎日の定型業務を自動化したい」といったニーズには、CopilotとRPAの組み合わせがおすすめです。
6.CopilotとRPAツールを導入する際の注意点
CopilotとRPAツールを導入する際は、以下の3点に注意する必要があります。
- 導入に適した業務を見極める
- 成果物は人間の目でチェックする
- Copilot in Power Automateは日本語に対応できない場合もある
ここでは、CopilotとRPAツールを導入する際の注意点についてそれぞれ解説します。
6-1.導入に適した業務を見極める
RPAツールは、単純作業の繰り返しを得意としています。その一方で、処理ルールが曖昧な業務や人間の判断が必要な業務には適していません。
Copilotもまた業務効率を引き上げて一部工程を自動化できますが、生成される内容が正しいとは限らないため、顧客対応などを任せてしまうと大きなトラブルを招くリスクがあります。
そのため、CopilotとRPAツールを導入する前にどの業務領域に適用するのか、事前に検討することが大切です。
また、最初からすべての工程を自動化しようとすると、取り組みに失敗してしまう事例も珍しくありません。最初は一部業務などでスモールスタートし、成功体験やノウハウを積み重ねることで、トラブルを避けて導入を進めやすくなります。
6-2.成果物は人間の目でチェックする
CopilotとRPAツールを利用するときは、成果物を人の目でチェックすることが大切です。Copilotは検索機能を搭載しているものの、AI機能を挟んでいるため、ハルシネーション(AIが誤った回答を事実のように回答する現象)が起こる可能性があります。
アイディア出しなど、最終的に人の確認が入る業務であれば問題ありませんが、問い合わせ内容の自動返信など顧客対応まで自動化してしまうと、一部返信内容に誤りが含まれる可能性も否定できません。その結果、顧客との信頼関係を失うリスクも生じます。
また、RPAツールは指示された通りに作業を繰り返す仕組みのため、指示内容自体が間違っていると間違った作業を実行し続けてしまいます。Copilotでシナリオを生成したときは、RPAが最後まで正しく動作しているかチェックすることが大切です。
CopilotとRPAで待機時間や単純作業を効率化できるものの、特に外部に出すデータや信用性が求められる作業・データに関しては、最後に人の目でチェックするのをおすすめします。
6-3.Copilot in Power Automateは日本語に対応できない場合もある
CopilotのRPA機能を搭載した「Copilot in Power Automate」は、現在開発途中のプレビュー版です。日本語での指示はまだ実験的な段階であり、期待通りの結果が得られない場合があります。
一部のシンプルな指示には対応できる可能性がありますが、複雑なフローの作成や詳細なカスタマイズは難しいかもしれません。その場合は、「箇条書きでシンプルな指示に置き直す」「英文に翻訳して入力する」といった手法が求められます。
7.RPAの導入ならRaBitにご相談ください
CopilotやRPAの導入を成功させるには、業務分析やシナリオ作成が欠かせません。自社で導入を試みて失敗するケースも多いため、ITスキルやリソースに不安のある方は、専門知識を持つプロへ任せるのをおすすめします。
もし、CopilotやRPAの導入を検討していて、「できる限りリソースを使わずに定型業務を自動化したい」とお考えの方は、ぜひこの機会に「RaBit」までご相談ください。
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